其の2→

呼ばれもの 其の1

タイ猫

招き猫のイラスト

呼ばれたところ タイ、バンコク、インペリアルクイーンズホテル
身請け金 200バーツ(だいたい800円)
大きなサイズのイラスト


 タイには面白いものがたくさんある。のに、観光土産屋にはロクなものがない。 財布のひもユルユルでうろついてるのに、買いたいものなんかない。 まあ、土産もの屋なんてどの国でもいっしょだけど。

木材も豊富、人件費も安いタイで、木彫りは特産品。日本でプラスチックのキーホルダーやらファンシーグッズが並ぶように、木彫りの象やら仏像やら亀やら甘えた坊主やら恐い顔のミッキーマウスやらなぜかタンタンやら、得体の知れないものが並ぶ。
 この技術と手間をもってしてこんなものつくるか?うわっ、いらん、貰ったら困る、のぼせたおばちゃんが買って帰るのか?こんなかさばるもん見る度後悔するぞ…

 木彫りと私に接点はない、と冷やかすだけ冷やかしていたその時、呼ばれた。

 にやけた招き猫や、へんな形に丸まってるちっとも猫っぽくない猫にはさまって、一生懸命左手をあげている。定まらない視点、所在なげに添えた右手がいじらしい。なんだか「はい」とは言えないけど当ててほしい小学生みたいだ。
 つい手をのばす。店員の目が気になる。ホテル内の店だから店員はさほどしつこくない、とは言え押しは強い。言葉のあまり通じない相手をあしらうのは面倒くさい。つとめて冷やかしの続きを装い、値段を見た。250バーツ、1000円弱。20や50ばかりの中では高い。すぐに置いたが、めざとく店員が寄ってきた。
 「ネコ、カワイイネー、キボリ」そりゃ見れば分かる。「250バーツ」それも見れば分かる。「200バーツデイイネ」??いきなり2割引きかよ!と思った時には「嬉しい顔」をしてしまっていた。タイ初日のことで、駆け引きがまだ掴めていない。あっさり負けた。呼ばれてる時に絶妙のディスカウント、即決で買う。すかさず別の店員が「コレモカワイイネ」、まるまるとしたエビスみたいにやたらと笑顔の福々しい招き猫を持ってくる。

いや、それはいらんです…